アラン・ゲイブリエル×エンジェル

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  Painkiller  


 痛いのは何処?
 痛いのはここ。
 おんなはそう口にはせずにおとこの仮面に接吻ける。
 だからベッドの上でいい。
 獣のような四本足が今はいい。二本足では遠すぎる。
「だって羽根のない天使だもの。背伸びをしても、どんなに高いヒールを履いても貴方には届かない」



 疼くのは何処?
 疼くのはここ。おとことおんなの狭間。くちびるとくちびるの隙間。
 人と機械の境界線。
 だから埋め合う。
 凸を凹に、凹に凸を。ただそれだけ、されどそれだけ。
「短絡的?」
「ただ寂しいだけ」



 痛いのは何処?
 痛いのはここ。
 おとこはそう口にはせずにおんなの背中の傷に指を這わす。
 だから明かりなどなくていい。熱と左手の指先だけでいい。
 右手は人間でない証。
「なにせ人機械というべきこの身体。どれだけ左手で愛しても、右手を嫌う君の眼が嫌い」



 痛いのは何処?
 疼くここ。疼く傷跡。



 痛いのは何処?
 痛いのは貴方が機械ということじゃないの。痛いのは私の羽根の跡。


 痛いのは何処?
 痛いのは君の羽根の跡ではない。痛いのは俺が機械ということ。



 けれどおんなはおとこの仮面に接吻ける。
 けれどおとこはおんなの背中の跡に指を這わす。
 それは愛し合い、抱き合う行為に似てなくはない。



 でも嘘に浸りきれるほどロマンチストじゃないの。



 痛いのは何処?

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