深夜一楽 後日談
その日、ラーメン一楽は夜遅くまで開いていた。
といっても、よく任務帰りの忍たちが立ち寄るこの店では、さして珍しいことでもない。今夜も一組、二組と常連客が入れ替わりに暖簾を潜ってやって来る。
サスケとイタチの兄弟も、その口だ。
閉店を少々過ぎてから顔を出したにも関わらず、気の良い主人はまだ他にも客がいるからかまわないと二人を迎えてくれた。
談笑をする顔見知りの忍ふたりに一声掛けて、それから狭いカウンターの一番端にサスケ、イタチの順で腰掛ける。
イタチが「サスケに任せる」と言ったので、サスケは「いつもの」と主人に頼んだ。
一楽のラーメンはやはり美味かった。こくの深いスープ、歯ごたえのある麺、しゃきしゃきの野菜。箸で持ち上げ、ふうふうと少し冷まし、それから一気に啜り込む。
そうしてそのように二人が鉢の半分ほどを黙々と平らげたときだった。
「おっ、サスケ!」
暖簾を潜って新たな客が現れた。ナルトだ。
サスケはまともに顔を歪めた。
他方イタチは暢気なものだ。箸を置いて「ナルトも夕飯か?」などと訊ねている。
ナルトは頷いた。
「おう。まだ開いてて助かったってばよ」
いつもの大盛りで、と言うナルトのため、イタチはサスケとの間に一つ席を空ける。
が、
「……」
その席にサスケが黙って詰めた。
「……」
「……」
端からナルト、サスケ、イタチ。
弟の行動がいまいちわからない様子のイタチ。
憮然としてだんまりを決め込むサスケ。
ナルトは溜息を吐いた。
「サスケ…誰もお前の兄ちゃんを取ったりしないってばよ…」