Marcello*Kukule Log




Marcello


 閉ざされし神世の時代に剣を突き立てよ!




Kukule


 お祈りを、お祈りを、せめてお祈りを。




Kukule



 やあ、きれいなお嬢さん。夜の10時まで一緒に踊っていかないかい?

 そのあとはどうするって?良い子はおうちへ帰んなさい。

 ハイ、そこの可愛らしいおねえさん。深夜1時までその可憐な唄声をもっと近くで聴きたいもんだね。

 おっと、その積極的な指はピアノを弾くためにあるんだろ?

 それ以降は空いてるかとは、これはこれは胸の高鳴るお誘いありがとう、ミセス。

 けれどすみませんねえ、それ以降は最愛の男に愛を囁く時間なの。




Kukule



 あなたにはなにひとつ望みません。




Marcello*Kukule


 それは16歳になった日のことだった。兄は俺を抱きながら云ったのだ。

 「私は16年前に神を失った」と。




Kukule


 死ぬな死ぬな死ぬな死ぬな。死ぬなんて許さない。

 …嗚呼、違う。

 お願い、死なないで、死んじゃいやだ、死んじゃいやだよ。




Kukule


 朝のミサには遅刻して、団長殿に見つかり説教で、

 心身ともに捧げるお勤めをお貴族さまのお宅でした後に、やってられっかとドニの酒場で酒とイカサマと女。

 そうしてそのままだらだらと夜を明かしたら、また朝のミサに大遅刻。

 ほら、団長殿が怒ってら。

 こんな一日を365日×10年間続けてる。それでもマルチェロのいない自由が怖くて何処へも行けない。




Kukule


 鼻歌を唄う。安酒場の女が子守唄と云っていつか唄ってくれた歌。

 最近は夜遅くまで部屋で仕事をしているらしい団長殿の部屋の前では、少し大きな声で唄って、過ぎ去る。

 お仕事のし過ぎは体に良くないですよ、団長殿。

 どうか今夜は良い夢を。





Marcello*Kukule


 マルチェロが俺を前に云った。

 「あの男爵殿の信心も薄れたかな?」

 寄付金が少ないのでお怒りらしい。俺は遠慮がちに云った。

 「…ならば貧乏人の信心は金持ちたちよりも必ず薄いと?」

 するとマルチェロが片眉を跳ねる。あ、こっち見た。

 「ああ、そうか、なるほど」

 何かを勝手に納得してにやり。

 「あの男爵には優しくしてもらえたのかね?」

 「……」

 優しくされると弱いんだ。アンタにされる比じゃないけどね。俺は黙って立ち尽くす。





Kukule


 そんなに高いところまでいかないで。

 その足で踏みつけられて、この手があなたに届かないのではなく、

 あなたがわたしを置いてどんどんその螺旋階段を昇り、

 この手があなたに届かないことのほうが哀しいのです。





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