Athena*Virgo




秘継の上でお茶会を



 貴方は柩をふたつ引きずっている。

 ひとつは貴方が眠るため。ひとつは私が眠るため。

 貴方は柩をふたつ引きずっている。




 貴方は私との茶会にまで、ふたつの柩を引きずってやって来た。

 餞の花の袂でお茶会を。

 美しい沙羅双樹の庭園は貴方の墓場に相応しく、貴方の引きずる柩に腰掛け、

 墓標に白いクロスを掛けましょう。

 貴方が引きずる柩は本当はひとつでいい。私の棺だけでいい。

 けれど貴方は柩をふたつ引きずっている。

 私はそれが哀しいけれど、「おやめなさい」と云うことが貴方を哀しませることを私は知っている。

 沈黙こそが最上の蜜。

 香り立つティーカップに貴方の遺書が舞い降りる。

 貴方の罪は神殺し。私の罪は貴方にその罪を与えたこと。




 墓標と柩でお茶会を。

 沙羅双樹の花でジャムを拵えましょう。

 真の願いはこれらが永久に茶会にだけ役立てば良いのに。せめて貴方の柩だけでも。




 沈黙が蜜ならば、私は願いを私の眠るだろう柩に閉じ込める。






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