安楽死を食い止めて
誰が貴方を殺したのかと問われれば、私は私と答えましょう。
私が貴方を殺しました。
そして貴方もまた私を殺しました。
貴方が私に手を差し伸べなければ、私はこうして心を殺さずに済んだのかもしれません。
私はこうして私の愛する人たちの死を望まずに済んだのかもしれません。
あのまま刃に貫かれていれば、私はどんなに楽だったでしょう。
哀しまずに済んだでしょう。
けれど私がこうしてこの大地に両脚で立つのは、たとえそこが茨であろうが荒野であろが立つのは、
私はこうしてこの生を哀しめるから。
それはどんなにか幸福なことでしょう。
貴方はもう生を哀しむことすら出来ない。
私にはそれが哀しい。とてもとても哀しいのです。
今たとえ黄金の刃がこの身を貫こうと、私はそれをもってこの宿命を放棄しようとは思わない。
私が死ぬということは貴方をもう一度殺すことと等しい意味を持つのです。
ねえ、アイオロス。
貴方の望んだ世界は私の望む世界と似ているかしら?
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