小話log.5
■目覚ましが壊れた朝の悲劇(瞳一郎×大志)
予鈴と共にバタバタバタ、バタン!
「くぉら!瞳一郎!お前んちの目覚まし壊れてるやん!なんで起こしてくれへんかってん!」
けれど瞳一郎は見当たらず、教室はしーんと静まり返って、すぐにやんややんやの大騒ぎ。
「寝惚けているのか、もともとボケているのか、この俺でさえ時々呆れるよ」
翌日の校内報には「杵島大志・お泊まり愛」の文字踊る。
■制服サンクチュアリ(瞳一郎×大志)
「学校では絶対に嫌やからな!」
「ハイハイ、わかってるよ。家でゆっくりしたいんだろ」
「なんで俺がそんな前向きな子になってんねん!」
■(- -)Zzz(瞳一郎×大志)
目覚まし時計も修理完了。
「瞳一郎でも寝るねんなあ」
眠る瞳一郎の前髪をさらりと撫でる。
■耳が痛いくらいしんとした廊下(瞳一郎×大志)
「学校では嫌じゃなかったのか?ん?」
「誰もおらんから今はいいねん。なあ、はよう」
つんつんと制服の袖を引かれる。
「仰せのままに」
夕焼け差し込む廊下でやさしいキッス。
■出席番号の日の憂鬱(瞳一郎×大志)
柏木瞳一郎の「か」、杵島大志の「き」、試験日は前後席。
「答案書き終わったら、ちょっとだけ横にずらしてくれへん?」
「かまわんが、お前が満点というのは非常に怪しいと思うぞ。きちんと自分の脳みその限界と今回の平均点を予測し、お前が取れるだろう点数の範囲内で最高点になるようカンニングするんだな」
「とにかく答案見せてくれることだけは分かった。ほんで俺はどーしたらええのん?」
■The clock hand is too late.(大志)
とってもとっても面白い、今すぐ瞳一郎に伝えたいことを思いついた大志はベッドでうーんうーん唸る。
「べつに電話するほどのことやないけど」
はよ明日になれへんかなあ。
登校時間まであと十時間とちょっと。
■ランチタイム・パニック!(瞳一郎×大志、伊集院、音羽)
「なんでお前らがおるねん!」
「いいじゃないですか、大志くん。ご飯はみんなで食べた方が楽しいでしょう」
「お前がいたら楽しくご飯なんて食べれんわ!伊集院!瞳一郎の横に座んな!向かいにも座んな!」
「やれやれ。柏木、君の趣味は私には理解しがたいね」
「理解してもらっても困るがな」
■教室を抜け出して(瞳一郎、槇)
屋上で悪巧み。
■隣の席(瞳一郎×大志、想平)
放課後の喫茶店。
「なんだかんだ言ってさ、お前ら仲良いよな」
想平の呟きに瞳一郎が答える、その前に、
「おそなってごめんな。もう注文したん?」
遅れてやって来た大志が当然の如く瞳一郎の横に腰を下ろす。
「…なんで二人して笑ってんねや?」
■get a bee under one's blanket.(瞳一郎、槇)
「いつまで想平に本性を隠しておくつもりだ?」
「そういう柏木はどうなんだい?」
「あいつは俺のことを拝金主義の守銭奴、おまけにホモ野郎と知ってるさ」
■放課後のM(瞳一郎、槇)
「おい、槇。想平が探していたぞ」
「そうか、わかった」
「おいおい、気をつけろよ。顔が想平用じゃないぞ」
■「いっしょに帰ろ?」(瞳一郎×大志、想平)
「つくづく無防備な奴だな、お前は」
「なにが?それより帰りにここ寄れへん?新しくできた店やねんて」
「お前の奢りなら考えないこともない」
「もうその手には乗らんで。なんや難しい言い回し使って、結局行かんとか言うつもりやろ。行くか、行かんか、はっきり言えや」
「ほう。学習能力はまだ機能していたらしいな」
「まだってなんやねん!」
「気をつけろよ、大志。人間の脳みそは二十歳を越えればあとは死滅していくだけだ。せいぜい今の内に脳細胞を増やしておかないと、一気にボケるぞ」
「ええ!?そんな大事なことなんで今まで黙ってたんや…!どないしよ、瞳一郎!」
「…つーか、よくそこまで話がずれていくよな、お前ら」
想平、呆れる。
■先生の目を盗んで(瞳一郎×大志)
地区対抗マラソン大会。実は裏では賭博会。
「なあ、ええんか?もし賭博してるってばれたら、やばいんとちゃうん?」
「大志、お前、東京都が東京都観光産業振興プランでカジノという観光資源開発に触れていることを知っているか?」
「なんやようわからんけど…」
「互助会はその実験的役目を負っている」
「えっ、そうなん??」
「もちろんこれは機密事項だ。誰にも喋ったりするなよ。特に生徒指導の教師には注意しろ」
「わ、わかった。俺、絶対喋ったりせーへんから、安心しろや、瞳一郎!」
■フェンス越しの悪魔(瞳一郎、槇)
フェンス越しに拳と拳を軽くこつん!
「よう、槇。誰のおかげとは言わないが、部費会議は概ね速やかに決まったぞ」
「そうか、こちらも誰のおかげとは言わないけれど、野球部とハンドボール部のいざこざが教師連中の耳に入らずに済んだよ」
ふたりでにやり。
■また明日、と手をふる影(瞳一郎×大志、音羽)
「それじゃあ大志くん、また明日会いましょうね」
バイバイと音羽。
大志はキーっとその背に怒り心頭。
「なんであいつが毎日毎日学校帰りに現れるねん!なんとかせーや、瞳一郎!」
「お前があいつより金を出すならな」
「原因はおーまーえーかー!」
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