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  うちはミコトの気遣い  


 一家揃っての静かな夕の食卓。その静に遠慮をしたような次男が隣の兄にそっと声を掛けた。
「…なあ兄さん」
「うん?」
「今夜、空いてるか?」
 次男の問いに兄はやや間を空けて答える。
「空いてはいるが」
「なら、部屋に行ってもいいだろ?前の続きがしたい」
 次男の言葉に、長男ははあと嘆息をした。
「…またか。本来あれは一人でするものだと言っただろう。それともお前はまだおれが手を貸してやらないとできないのか?」
「バカにするな。一人ででもできる。だが、兄さんのが見たい。兄さんは上手いからな。…見る分にはかまわないだろ?どうせそろそろするつもりだったはずだ」
「まあ時機ではある。面倒だからと溜めているのも確かだ。が、しかしお前、前もそんなことを言って結局…」
「あっ、あれはアンタが勝手に先に手を出してきたんだろうが。おれは頼んじゃいない」
「見るに見兼ねてだ。…分かったよ、後でおれの部屋へ来るといい。だが条件がある」
「条件…?」
 そう首を傾げる弟に、今度は長兄がそっと顔を寄せた。
「おれもお前のが見たい」
「う…それは…」
「いやなのか?」
「…アンタと比べたらへたくそだから…」
「お前、兄貴のおれに恥ずかしがってどうする。それに初めてもおれの前でやっただろう。…この間はつい途中で堪えられず、おれが手を出してしまったからな。今晩はちゃんと教えてやるよ」
「…本当か?」
「ああ、本当だ。だいたいお前はそう思うほどへたくそじゃないさ。上手なくらいだ」
「だが、兄さんのと…」
「サスケ。おれの真似ばかりしなくていい。ああいうのはそれぞれだ。癖もある。おれも、まだ荒削りたがお前のを試してみたいと思うときもある」
「そ、それなら今晩おれが兄さんのをしてやってもいいぜ。…いつもの礼だ」
「ふふ、それは楽しみだな」
「じゃあ決まりだ」
 次男は早速夕飯を平らげ、まだ食後のお茶を啜る兄の服を引っ張った。
「早く部屋へ行こうぜ、兄さん」
「そう急くな、サスケ」
「早く始めた方がたくさんできるだろう」
「風呂くらい入らせろ」
「んなの後でいいじゃねーか。どうせ後で洗うんだ」
「そうだな、お前がまた暴発でもさせたら散々だ。手どころか顔まで汚される」
「…それはおれが初めてのときのことだろうが。もうあんなことしねえよ。…なあ」
「やれやれ、仕方ないな」
 ごちそうさまと手を合わせた長男は次男に急かされ、連れ立って部屋を出て行った。



■食卓のうちはご夫妻
「……」
「あなた、サスケはイタチに起爆札の術式の組み方を教わりたいだけよ」
「そ、そうか。いや、ごほん、勿論わかっているぞ、そんなこと」

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