約束を守らせて
サガが、今日は一緒に夕食を食べよう、と云った。昨夜そうすることが出来なかったからと付け足す。
カノンは、やめておけよ、と苦笑した。無理なことを出来るなんて云うもんじゃない。
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かすめた手
殴ろうとして振り上げられた手は、最後の最後にはカノンの頬をかすめて落ちる。
嗚呼、いっそ殴ってくれれば話は早い。
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見えないのに見ようとする人
「最近カノンには誰か友人が出来たのか?やけに機嫌が良い」
「ああ、まあそんなところかな」
「そうか。いつか私にも紹介しておくれ」
「…ああ、そいつと仲良くしてくれるなら」
出来たのはもうひとりの兄なのに。
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あなたを知る
「本当はどろどろの奴で、本当はもうぼろぼろで、
でも本当の本当に優しい奴で、俺はそんなお前を好きだったのに」
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伝えたいのに伝わらないこと
リコール
この子をどうかお救いくださいと、
こんなにも心を尽くしあなたに仕えているわたしのささやかな望みを、あなたはどうして無下にするのか。
嗚呼、リコールだ、リコールだ。
「サガ、神さまなんてリコールしよう」
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何も知らない
お前さえいなければ良かったのにをふたりで隠しながら、「お前がいて良かったよ」とふたりで抱き合う。
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知識という絶望
未知という希望
「お前はあっち」
「お前はそっち」
さよなら、さよなら、さようなら。
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奇跡を望む
お前がいて良かったよをふたりで隠さず持ちながら、
「お前がいて人生けっこうたいへんだった」と笑い抱き合うことができたなら。
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