同棲 Gemini 20

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引っ越し


 「駅近」

 「本気で走ればどこにいても我らは駅近だ。というわけで、郊外決定」

 「どこにいてもすぐに郊外に行けるのに」




二人寝


 「おい、サガ。毛布もっとこっちに寄越せ」

 「そんなことしたら、私が寒いではないか」

 「俺なんか、こんだけしか毛布掛かってないのだぞ!」

 「私なんか、見ろ、こんなにもはみだしている!」

 「つーか、あの家具屋、むかつく。ベッドの搬入日無視しやがって」

 「手違いは誰にでもあるものだ。そう怒るな、カノン」

 「では毛布をもっとこっちに寄越せ。寒い」

 「それとこれとは話が別だ。お前こそもっと寄越せ」




不器用な手料理



 「うーむ」

 「美味いか、カノン?」

 「微妙。馴染んだ味に戻ったという感じで、この味が俺の基本だからな」




キャッチセールス



 「幸せの壺だとさ」

 「壺くらいで幸せになるなら、買い占める」




言うなれば


 「これは」

 「これは?」

 「ニューディール政策」

 「解ったような、解らないような」




着替え


 「サガー、サガー」

 「なんだー?今鍋を見ているから手が放せんー」

 「風呂場までー、パジャマをー、持ってきてくれー」

 「下着もかー?」

 「あー」

 「もう少ししたら持って行くー。あと100数えていなさいー」

 「へーい」




居なくなって気付く


 「…爪切りの場所がわからん。…サガめ、何処にしまったのだ…」




手抜き


 「カノン!窓のサッシにほこりが残っているぞ!」




赤い羽根募金


 「愛の手を、お兄さま」

 「きちんとお小遣い帳を付けなさい」




コンビニエンスストア


 「ちょっと行ってくる。何か要るものはあるか?」

 「別に。…いや、待て、私も行く」

 「要るものないのだろう?」

 「要るものがなくとも行きたくなる、そういう処だ」




深夜番組


 「何を見ているのだ?」

 「ちょっとエロいフランス映画」

 「ふうん。それよりカノン、私ともっとエロいことしないか?」

 「ビデオ撮影だけは勘弁だぜ、お兄さま」




偶然の出来事


 「サガー、土産にケーキ買ってきたぞ…って、あれ、お前も?」

 「うーむ、今夜の夜食はケーキだな」




発掘したアルバム


 「どっちがどっちなんだか、さっぱりわからんわ!」




雨降りに濡れた傘



 「雨雲が途切れて、晴れの処まで歩いていこう」

 「そうしよう」




かくれんぼ


 「確か、ここでサガにメールを打って」

 「ふむ」

 「そんであそこでサガに電話して」

 「ふむふむ」

 「で、むかついて投げて、だな」

 「携帯電話が行方不明、と。ご丁寧にバイブまで切って」

 「だってお前が何度も掛け直してくるから」

 「それはお前が用件の途中で切ってしまうからだろう」

 「お前が勝手なことばかり云うからだ」

 「もういい。とにかく、まずは携帯を探すぞ」

 「おー」




留守番電話


 「ちぇ」




迎えに来て


 「あ、もっしもーし、お兄ちゃ〜ん?」

 「うちにカノンという名の弟はたった今から存在しなくなった」

 「そー云わずにさあ、まぁたちょっと飲み過ぎて」

 「せいんとならちゃんと歩いて帰ってきなさい」

 「カノンだから、なんだか急に寂しくなって、もう動けない」

 「…動かずとも良いから、そこで待っていろ」

 「…うん」




一緒に買い物


 「どうよ、これ。絶対サガに似合うぞ」

 「で、何故お前が試着しているのだ?」

 「客観的に見れて良いではないか」

 「こういう時は便利だな」

 「というわけで、サガ、これ着てくれ。超迷い中の代物なのだ」




奪い合い


 「映画だ」

 「ニュースだ」

 「え・い・が!新聞でも読んでろ!」

 「ニュースだ!本でも読んでろ!」

 「映画!」

 「ニュース!」

 「映画」

 「ニュース」

 「映画…」

 「ニュース…」

 「むう…」

 「うーむ…」

 「…で。結局なんで旅番組なのだ」

 「ふたりの間をとったらこうなったのだ。ああ、つまらん」




これから


 「カノン。ひとつ提案がある。テレビとプレステ3は一台ずつ買おう」





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