女たらし
ある女が云った。
「女はね、男を自分の言いなりにしたいけれど、
いざ自分のものになったら、これほど魅力のない男はないわ」と。
だからククールのことはいつまでも好きよ、とも云った。
「団長殿が悪いんだぜ」
「何のことだ」
「俺の女遊び」
女のものにも、ただ一人の彼以外、誰のものにもならない、我が心。
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詐欺師
「けっこう好きだぜ、あんたのこと」が殺し文句。一撃必殺。
引き替えに金銀宝石・金に、「愛しているわ、ククール」
だから「私のこと愛しているって云ったじゃない」なんてあり得ない。
一度でも俺が「愛しているよ」なんて云った覚えがあるかい?レディ。
俺の愛は一言で云えるような、そんな薄っぺらいもんじゃねえんだよ。
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魔術師
へんしんまほう。俺以外の前ではやさしいひと。俺の前ではやさしくないひと。
呪文はきっと「ククール」
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幸せな人
不幸な人
不幸だな、私が奴を愛すことはないのに、奴は無駄な行為を繰り返す。
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一般の人
「ここはパルミドの街です」
「あーそー。んなこたあ解ってるって」
「ここはパルミドの街です」
「わかった、わかったって。でさ、背の高い、黒髪で、哀愁漂う背中の男、見なかったか?」
「ここはパルミドの街です」
「あーもー。だから俺はこの街が嫌いなんだ!」
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酷い女
マルチェロが黙っていることをいいことにククールは喋り続けた。
「実際酷い女だよ。幼いあんたを残してくたばるなんて。くそ親父に捨てられるはずさ。
そうだ。もっと魅力的な女だったら良かったんだよ。それなら捨てられなかったかもしれない。
あんただってあの家で暮らせたかもしれない。あんたが俺をこんなにも憎まなかったかもしれない!」
マルチェロは尚沈黙。
ククールはくちびるを噛みしめ、彼の怒りを待つ。
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ヒーロー
「いつ何処にいても、貴方が悲しい時には駆けつけます」
貴方の哀しみが一時でも麻痺するというのなら、彼の拷問室へも。
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サイエンティスト
2H2+O2→2H2Oの如く、違うものだけど、ひとつになりたい。
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天使のような人
遠くへ行けとあなたが云うなら、遠くへ行きます。
傍へ来いとあなたが云うなら、傍へ行きます。
憎まれろとあなたが云うなら、喜んで憎まれます。
無償の愛をよこせとあなたが云うなら、無償の愛を差し上げます。
そしてあなたの声なき声に耳を傾けましょう。あなたの涙無き嘆きに接吻けましょう。
嗚呼、わたしはあなたを許します、あなたの全てを許します。
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